【実施報告】FY2023技術施設見学会

実施日:2023年12月1日(金)  13:30~16:00
見学場所:東芝エレベータ㈱ 様 府中工場
参加者:7名(PE 7名)

 ㈱東芝様府中事業所内にある東芝エレベータ㈱様府中工場の施設見学を行った。東芝エレベータ様は1966年に昇降機事業を開始した。国内に工場2拠点と信頼性評価施設、全国各地に販売・サービス拠点を有し、また海外にも中国やマレーシアに工場や販売拠点を有している。他の製造業と比べて特徴的に思えたことは、工場内で完成品を検査することはできず、現地で組み立てる順番にパーツを出荷し、現地で据付・調整を行う点である。すなわち、巻上機や制御盤、レール、乗り場ドア、かご、照明、操作盤・押ボタンなどの用品を現地で据付する順番で出荷することから、「製造する順番」≠「出荷する順番」になるとのことであった。
 最初に見学させていただいた「フィールド研修センター」は、専門者の技術教育に関する拠点で、「据付」、「メンテナンス」、「整備」に関する教育と指導スキルの伝承が行われている。最近の製品のみならず現在も使用されている旧機種を含め、40台程度の実機を保守技術者用の教材として使用しているとのご説明が印象的であった。
 「サービス情報センター」では、全国の保守契約された同社製エレベーターを24時間365日遠隔監視し、災害を含む不測の事態への備えと対応を行っている。独自のアプリと地図システムを用い、万が一、お客様をかご内に閉じ込めてしまう「閉じ込め故障」が発生した場合でも効率的な出動指示を出している。膨大な量の昇降機に対して、限られたフィールドエンジニアをいかに手配するか、司令塔的役割を果たすとともに、行く行くは現場における故障データを遠隔で吸い上げ、解析を行い、故障防止のための設計にフィードバックすることも考えているとのご説明があり、そういったサイクルが実現すると製品の一層の品質向上やコスト削減が期待できるように思われた。
 最後にパネル加工、粉体塗装等のラインを見学させていただいた。生産能力向上のために、パネルラインでは人手をかけて個別生産するものと自動化して量産するものを分けていること、塗装ラインでは人手をかけずに良/不良判定を行っていることなど、様々な工夫を垣間見ることができた。
 エレベーターは、工場内で出荷試験を行っても、最終的な完成品は現地で建物に合わせてアジャストする必要があり、そこに経験と技術力が必須であることが認識できた。その意味でも専門技術者の育成と確保が事業の生命線であること、東芝エレベータ㈱様もこれらに対応した取組みをされていることが理解でき、非常に有意義な見学会であった。今回ご案内くださった池田様他のみなさま、並びにJSPE会員で本施設見学会をご設定並びに見学会当日もご同行くださった松岡PEに厚く御礼を申し上げます。

         参加者集合写真