【実施報告】JSPE Day 2020

Day 1   9/26 (土) 参加者32名 (PE会員29名、PN会員1名、FE会員1名、非会員1名)

植村会員と野本会員に講師を務めていただき1時間15分ずつご講義いただきました。植村会員の講義ではリスク対応とリスク対抗の違いやリスクの低減、回避、許可、転嫁の実例、プロジェクト全体を見渡して「トータルリスクミニマム」を目指すことの重要性などを学びました。野本会員の講義ではガス精製プラントで発生した事故の実例を題材として事故の原因や影響、それらから得られた教訓についてご説明いただいた後、石油・ガスプラントにおけるリスクとハザードの関係やリスク低減策について解説していただきました。お仕事を通じて得られた知見を講義を通じて共有してくださった講師のお二人にこの場をお借りして感謝申し上げます。

Day 2   10/3 (土) 参加者37名 (PE会員35名、非会員2名)

横浜国立大学リスク共生社会創造センターの野口和彦客員教授に基調講演を行っていただきました。普段、当協会の鬼金セミナーなどでPMBOKの学習をしている人の中には講演を聞いてリスクの定義が1つではないことに驚かれた方もいらっしゃったのではないかと思いますが、ISO 31000の概念やリスクの影響として好ましくないものと好ましいものの双方を考慮して全体最適化を図るといった考え方を知ることができ、受講者の皆さんにとって有意義な講演であったかと思います。お忙しいなか基調講演をお引き受けいただき、また、受講者からの数多くの質問にも丁寧に応じてくださった野口先生に改めて御礼申し上げます。

・講演要旨

「プロジェクトにおけるリスクマネジメント」(植村大輔PE会員)

すべてのプロジェクトは、多くのリスクを伴うので、それを初期段階で洗い出し、対策を取ることが必須となる。本発表では、それらを効率良く無駄なく進めるため、前半で一般的なリスクマネジメントの手順や分類を整理し、後半でその応用として大規模発電プロジェクトを例として説明する。そして最後に、リスクマネジメントで重要なことを考察する。

「石油、ガスプラントのリスクマネジメントの基本」(野本泰之PE会員)

PSM(Process Safety Management)は、プラントの事故を防止する方策があらゆる視点から述べられたものであるが、その PSM の重要な一部であるハザードの特定、リスクの評価、そしてリスクの削減・機能要求設定と安全維持というサイクルが、狭い意味でのリスクマネジメントのプロセスと言える。今回は、石油・ガスプラントの「ハザードの特定」と「リスクの評価」に関する基本事項を説明する。最後に、一例として、リスクの低減案を皆で考える。また、冒頭で 2004 年のアルジェ、スキクダの LNG Plant 事故について説明する。

基調講演「マネジメント改革技術としてのリスクマネジメント」
(横浜国立大学リスク共生社会創造センター客員教授 野口和彦先生)

リスクという用語は、多くの場面で使用されるようになっているが、リスクの捉え方はその適用分野によって、様々である。本講演では、リスクマネジメントの変遷と最新のリスクマネジメントについて紹介すると共に、安全に対するリスクマネジメントの適用についても論じる。