【実施報告】第310回関東技術CPDセミナー/310th Technical CPD Seminar

【開催案内】

CPD2018関東 (第310回CPDセミナー)
場所: みんなの会議室 渋谷宮益坂
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1丁目8番地3号TOC第1ビル3階(ビルの外観
駅徒歩:渋谷駅より徒歩4分
講演1:14:00~15:00
講師 : JSPE 副会長 森山亮
講演タイトル:バイオマス発電導入の課題について
Issues about introduction of biomass power generation
講演概要:再生可能エネルギー(再エネ)からの発電は固定価格買取(FIT)制度の導入により、大幅な伸びを見せている。一方で、第五次エネルギー基本計画でも示された再エネの主力電源化に向けて必要な取り組みも残されている。本講演では再エネの内、バイオマス発電について他電源とは異なる特徴や導入の課題について述べ、将来の再エネ主力電源化に向けて必要な検討課題を述べる。

講演2:15:15~16:30
講師 : 自然電力株式会社 伊藤博史(PE 会員)
講演タイトル:再生可能エネルギーの展望と取組状況
Prospects and efforts of renewable energy
講演概要:今後の再生可能エネルギーの動向と再生可能エネルギーの取組について、太陽光発電やバイオマス発電の他、具体的なプロジェクト事例(風力発電、小水力発電)を交えて紹介する。

参加費:JSPE会員 1,500円、JSPE非会員 2,500円

【実施報告】

参加:24名(PE20名、PEN3名、FE1名)

東京会場で、森山副会長より「バイオマス発電導入の課題について」、伊藤会員より「再生可能エネルギーの展望と取組状況」をテーマに講演して頂きました。
森山副会長の講演は「バイオマス発電の8割は動かない。原料の材木チップは輸入頼み」という、「日本は森林が多い(=原料に困らない)」と思い込んでいた身からすると、非常にインパクトのある言葉からスタートしました。
バイオマス発電事業の例として、メタン発酵 (家畜排せつ物や生ごみのメタン発酵プロセスから得られるバイオガスからエンジンで発電する)、ガス化 (ペレットを熱分解し、得られたガスで発電する)、木質燃料発電 (ペレットなどをボイラーの燃料源にして発電する)の概要、それらの技術的・システム的課題を紹介していただきました。
安定・継続した原料調達については農業分野、発電ブラントについてはプラントエンジニアリグ(化学工学、機械工学、シビル、電気、計装など)、メタン発酵には水処理や臭気対策といった衛生工学と、広範囲にわたるエンジニアの知識が活用されています。
複数の課題を克服するためには、小型 (地産地消型)・大型発電の共存、国産・輸入材との共存の最適解を導く必要があるようです。

伊藤会員から、有効的に土地を活用できるアメリカや中東では技術革新による要素機器の高効率化とコストダウンや太陽光発電および風力発電は一度設備を据え付ければLNGや石炭といった原料を必要としないメリットがあるためコスト効率の点では従来の化石燃料を使用した発電と比較しても十分に競争力を有するレベルにあること、国内のエネルギー需要は減少することは間違いないが再生可能エネルギーが占める割合は増加するなどの説明ののち、所属されている「自然電力グループ」が手掛けてきた地産地消的エネルギー発電の例として、佐賀県唐津の風力発電、長野県小布施の小水力発電プロジェクトを、ダイナミックな動画を交えて紹介していただきました。
必要なエンジニアリングスキルは「バイオマス発電」と相違ありませんが、プロジェクト遂行中にメーカーの成果物を正しく評価するために、発電に関する流体解析を自社で実施できる体制を形成されたという特色があります。
参加者からは環境アセスメント項目、風車による低周波音の影響について質問がありました。また、自治体の水処理場への小水力発電施設の適用、風力+潮流発電 (船のプロペラを回転させて発電する)、オフショア風力発電に関する活発な議論がなされました。

広い視野を持ち、各要素技術を統合するための「プロジェクトマネジメント能力」は、両テーマに共通する必須項目だと感じました。

 


会場の様子

JSPE(川瀬/山口)