【実施報告】6/16関西モノづくり施設見学会

日時:2018年6月16日(土) 11:00-13:30
場所:羽曳野市 河内ワイン館
参加:9名 (会員4名、非会員5名)

今年の関西施設見学会は、大阪羽曳野市の河内ワイン(1934年に創業し、現在4代目)を訪問しました。前日まで天候が優れませんでしたが、当時は天候にも恵まれました。

河内ワインの専務から、ワイン製造の工程(ブドウ選定⇒搾り出し⇒発酵⇒熟成⇒瓶詰)に沿って説明いただきました。

  • ブドウ選定:ワインの重要なポイントである酸味を決定し、ブドウのできに大きく依存する。そのため、年毎に仕入れ先も変える。因みに、JSPEとなじみの深いDelaware州、ここが原産のデラウェア種がおいしいワイン作製に適していない定説をひっくり返したというエピソードも披露いただきました。
  • 搾り出し:ブドウから茎をとり、機械で果汁を絞り出す(絞る前に前発酵させると赤ワインとなる)。ワインの果汁が酸化すると味が劣化するため、搾り出しから発酵用タンク詰めまでの工程で空気が含まれにくいスイスのBucher社製の絞り機を使用している。
  • 発酵:果汁に含まれる糖を酵母で発酵させ二酸化炭素とアルコールに分解する。発酵が完全に終わる前は、二酸化炭素(=炭酸)が含まれたスパークリングとなる。発酵に使用する酵母は天然100%だと保存性が優れないため、組み合わせて使用することが多い。

  • 熟成:発酵後に樽詰めし香り付けを行うが、ボジョレ・ヌーボのように香り付けしないものもある(因みにボジョレ・ヌーボはその年のブドウの出来を確認する試飲用を収穫祭でふるまったのが起源とのことでした)。樽は、料理に合うように材質(基本は樫だが和食向けに杉で作ることも、同じ樫でも生育気候で異なる木目の細かさを使い分ける)と内側の焼き加減を調整。樽内の洗浄が不十分だと、台無しに。

ワイン作りを工学として考えると、糖を酵母でアルコールに分解することになります。文字で書くと非常にシンプルですが、工業製品と異なり如何に注意しても原料(ブドウ)の品質を均質することはできません。しかし、その年のブドウに応じた調整をすることで、商品として一定の水準を担保する、これは工業製品を扱う我々エンジニアと同じ考え方といえます。

見学後はワイナリー直営の食堂「金食堂」で昼食とワインの試飲を行い、親睦を深めました。今回の参加者は9名と多いとは言えませんがJSPE会員だけでなく、非会員の会社の同僚や、その家族の方々が参加いただけたのは大きな前進だと考えています。今後も会員だけでなく家族も含めた交流ができるイベントを企画していきたいと思います。

(JSPE企画部会:西久保)